▼ユニパルス株式会社 代表取締役社長 玉久 明子さん

Unipulse Corporation CEO Akiko TAMAHISA


 

世界のものづくりをセンサー機器、計測器で支えるメーカー

~世の中にない価値を創造して、世界初の製品をつくり、世界を変えていく

 

ユニパルスのセンサーはあらゆる製造業の現場に必要な機器

ー社長の仕事は「開発」「製造」「営業」の三部門に働きかけ、現場の業務をスムーズに進めること

- ユニパルスとはどのようなことをしている会社ですか。

 

 

1970(昭和45年)の4月に創業した会社で、今年で54年目になります。

 

主にセンサーを作っています。そのセンサーは、主に工業用の秤(はかり)に使われています。お客様は企業で、完全にB to Bの会社です。センサーの技術を中心に、そのセンサーの力を表示する表示器と、センサー技術を使ったリフターやモーターなどを展開しています。

 

車の製造や、いろいろなものづくりの現場で使われている秤なんですけれど、重さを測ったり、力を測ったり、あとは回転の力を測ったりします。ストレインゲージというものを使って、各種センサーを作っています。

 

※ストレインゲージ(strain gauge、ひずみゲージ)…物体のひずみを測定するための力学的センサー。ひずみ測定を利用して間接的に、応力計測や荷重計にも用いられる

 

 

- ユニパルスは玉久社長のお父様(現会長の吉本喬美さん)が作られた会社なのでしょうか。

 

 

はい。そうです。

 

 

- この会社の社長に就任されたときは、どのようなお気持ちでしたか。

 

 

私はユニパルスに来る前は、社員が10人ぐらいの会社を12、3年経営していたんです。元々、経営はやってきたことなので、特に違和感なく移行できた、というのはあったかなと思います。

 

ただ、ひとつ違うのは規模の大きさですね。今、正社員とパートタイムの従業員数を合計すると、270人ぐらいいます。その規模の会社を運営するとなると、見なければならない部分が多くなるわけですよね。

 

以前、私が経営していた会社はデザイン関係だったので、デザイナーたちがどういう気持ちで毎日仕事をしているか、取引先との対応やどのように相対しているのか、どう感じているのか、といったことを見ていれば十分でした。ただ、この会社の場合、社員それぞれの立ち位置が全然違うので、それぞれの目線というものを考えなければなりません。

 

 

- それは部署による違いなのでしょうか。

 

 

ユニパルスはメーカーなので、「開発する人たち(技術)」「作る人たち(製造)」「売る人たち(営業)」の主に三つにわかれています。

 

開発する人の思いが、まずはそれを量産する製造に伝わらないといけないわけですよ。量産するので、製造で作りやすさ、タクトタイム、早く作っていくということがすごく重要になってきます。

 

※タクトタイム(Takt Time)…ひとつの製品を製造するのに必要とする時間のこと。ピッチタイム

 

この製造側の立場を開発側が理解しないことには、スムーズに生産ができないわけですよ。売る側は、毎日毎日、お客様とお話をして、開発と製造の現場を理解しながら、うちの製品を売ってくれています。なので、営業が売りやすいものを、かつ売りやすくなるような情報を、技術・製造から使える情報として渡してもらっています。

 

うちの会社の規模だと、この三部門のコミュニケーションをスムーズにするためには、それぞれがどの立ち位置に立って、日々何を見て、何を重要だと考え、何を大事にして仕事をしているのか、というのをお互い理解することが必要だと思っています。ただ、それはなかなか難しい、と日々思っています。

 

相手が何をやっているか、相手が日々頑張っていることを理解するのは、すごく大事ですね。多分、仕事をやっていく上で、一番大事なことですね。偉そうに言ってしまって、ちょっと恥ずかしいですね。

 

 

- いえいえ。素敵なお話をお聞かせいただき、ありがとうございます。

 

 

日々、起こる問題はそこがベースになっていると思いますね。時間に追われて一生懸命やっている人ほど、目の前のことしか見えなくなってきます。余裕がないと広い視野は持てないので。

 

こちらとしては「早くやってほしい」と言わないといけない立場ですが、相手がやっていることを見れば見るほど、そこじゃないとわかってきたりします。

 

この忙しい三部門の人たちの代わりにできるだけ、私たちが状況を把握して、それを全員に伝えるというのは日々やらなければいけないことだと思っています。私は間をつなぐ仕事をしていますね。会社の組織にはいろんなことがあって、ボコボコした球なので、できるだけ丸くまとまるようにするのが私の仕事かなと思っています。

 

問題がある部分を見つけて、問題が少なくなるように、全体を見て、いろんな人間に働きかけて、うまくいったら「良かったよね」という結果を積み重ねて、だいぶいろいろなことが解決できているのではないか、と私は思っています。

 

 

- 問題を少なくするために相手に働きかけるためには、その人のことをよく知っていなければできないと思いますが、いかがですか。

 

 

そうですね。ですから、この規模の会社でしかできないことかもしれない。社員の名前は全員覚えていますし、ある程度どういう人物なのかは把握しています。

 

 

- 部署や役職だけではなく人柄も、ということですか。

 

 

そうですね。個人的な付き合いですよね。全員と定期的に面談するんです。何かあると、その担当者と二人で話し込むというのはよくあります。

 

大きな組織だと、そこまでやるのは無理だと思います。直属の上司が近くで見るのはすごく重要です。わたしは直属の上司ではありませんが、何となくみなさんのことをわかっていると感じられるのは、この人数がマックス(限界)かなと思っています。

 

それぞれの人が何に特化していて、何をやりたいのか、何をやってもらったら、スムーズに動くのか、そういうのを把握することが私にとって一番重要な仕事ですね。

 

コミュニケーションという意味でも、伝え方でどういう言葉を使うと響くか、どういう切り口で言ったら、この人は動きやすいかとか、すごく重要だと思うんです。日本語って言い方ひとつで、表情ひとつで意味が違ってしまったり、まったく違う意図を受け止めてられたりするので、難しさはありますよね。 



留学生や外国籍の方がいることで、やれることがぐっと増える

ー顔と顔を合わせて仕事をしていくことの重要性、人間のできることを最大化していく

- 最初にユニパルスに外国籍の方が入社されたのはいつですか。

 

 

おそらく1990年代頃にはいらっしゃったと思います。社長が外国籍だったこともあって、一時期英語で採用面接をして、外国籍のスタッフがたくさん入社していた時期もあったと思います。私も一時期、その人と一緒に働いていたので、二十年以内のことですね。

 

 

- 日本人同士でもコミュニケーションが難しいなかで、ASIA Linkより3名の留学生の方が入られて、いかがでしたか。

 

 

やれることがぐっと増えて、本当にうれしいなと思っています。今、外国籍の社員は、Lさん、Tさん、Yさんがいます。入社から一年経っていないにも関わらず、海外営業としてかなりの成果を上げてくれています。

 

具体的に言うと、ベトナム、インド、インドネシア、マレーシア、シンガポールの5か国はLさんが担当してくれているんですが、すでにいろんな展示会に一緒に行ったりとか、海外の代理店さんが出店する展示会に参加して、営業として活躍してくれています。

 

現場で現地の人間と顔を合わせて動くのは、すごく重要ですよ。今はWEB会議で事足りることも、いっぱいあると思いますが、もうちょっと人間のできることを最大化する、という意味で顔を合わすというのは、どんどんやっていきたいと思っています。

 

さっき、お話した社員全員がどういう感じの個性を持った人間なのか把握するってこととつながってくるんですが、この人にこれを頼んだら80点ぐらいで何とかできるんだろうな、という目測があります、という場合。この案件をこの人に頼む前に、この人にちょっと下調べをしてもらって、この人とこの人の間で一緒になって何かやってもらうようにすると、80%、90%ぐらいで終わるものが、意外と180%ぐらいの成果で終わったりします。

 

具体的に言うと、このプロジェクトに関連する、このお客さんの関連会社のこれ、という風に広がったりします。人と人とが一緒にやることによって、1+1が2ではなく、3とか4になる可能性がある、それを狙っています。

 

ですから、Lさんに関しても、まったく同じで、海外の代理店さんと動くことによって、Lさんのアイデアが湧くはずなんですよ。目の前のこと以外にも。あの人はこういうことをやっていて、あの会社はこういうことをやっていて、もしかしたら別の会社にもつながりがあるんじゃないか、そうやって波及させていくことを狙っています。

 

仕事以外の話をしていると、いろんな話がふっと出てきたりするじゃないですか。それが意図せず、相手にとっては有益な情報だったりします。そういうのが大事なことだと思うし、仕事をしていく楽しみはそこにあるんじゃないかと思っています。



営業職に必要なことは自分のキャラクターをよく理解できていること

ー自分の人間性をアピールして、信頼関係と人間関係をつくっていく

- 営業職に必要なことは何だと思われますか。

 

 

ユニパルスは完全にB to Bで工場のエンジニア(技術者)の方に営業をしていきます。営業としては、自分がどういう人間かが、わかっている人間の方が、自分の人間性をアピールできるので、営業マンとして仕事を進めやすいと思いますね。

 

「〇〇さん、来てくれたんだ。最近、来てなかったじゃん」というような人間関係を作れる人のほうがいいですね。相手をいい気分にさせて、楽しく話せる人がいいですね。 



ロールプレイやデモ機を触りながら、製品知識を学ぶ

ーユニパルスの営業マンができれば、どこでも活躍できる人材になれる

- 以前、海外営業のLさんから「製品知識を勉強するのが大変だ」という風に伺いました。営業の方はどのように製品について勉強されているんですか。

 

 

いろいろやりますよ。入社してから1か月ぐらいかけて先輩からのレクチャーを受けて、その後、ロールプレイングをします。お客様と営業の立場で、いろんな質問を投げかけられて、それに答えられなかったら、その場で学んで、ということを繰り返していきます。あとは、デモ機を触って、「何で?」という疑問を自分でつぶしていきます。製品点数も多いので、すごく大変だと思います。

 

製品点数を減らしたいとは思っているんですが、50年前に作った製品がいまだに売れています。ですから、勉強の負荷がかかってくるとは思います。ただ、うちの会社の営業マンとして独り立ちができた人はどの会社からも引く手あまただと思います。

 

 

- デモ機を触って、疑問をつぶしていくことで、お客様の目線に立つための訓練をする、ということですね。

 

 

何を聞かれてもちゃんと答えられるというのは一番重要ですね。しかも、相手がエンジニア(技術者)ですよ。なので、どんなに頑張っても「一旦、技術部に持って帰ります」という営業が言う場面はなくならないとは思います。営業相手がエンジニアなので、それはしょうがないことですね。 



今後の海外展開は、電気自動車、半導体、パソコンメーカーとともに

ーセンサーはあらゆる製品に使われ、未来永劫なくならい

- 企業の海外展開についてなんですけれど、これからどのような地域に展開したいなど構想などはございますか。

 

 

いろいろありますよ。少し前、台湾に行ってきました。長い付き合いのある、機械装置(マシンビルダー)のメーカーさんにお会いしてきました。彼らはいろんな会社から部材を集めて、試験機を作って、それを売っているメーカーさんなんです。その試験機にうちのセンサーや、センサーの力を表示したりコントロールしたりする指示計とかが入っています。

 

※指示計…流量、液位、圧力、温度、電圧、電流などの計測データを表示する機器

 

その会社の方にいろいろ聞いてきたんですが、今、半導体が非常に盛り上がっていて、日本の九州や北海道にも半導体の工場ができますよね。半導体の装置はもちろん、そこのメーカーさんはパソコンのヒンジ(蝶番、開閉部)の部分の力を測ったり、折り畳みの携帯端末のヒンジの力を測ったりする試験機も作っていて、うちのセンサーを大量に入れてくれています。そこの会社の販売先は、世界的に主要ないくつかのパソコンメーカーです。ですから、うちの製品が台湾のビルダーを通して、中国本土やヨーロッパで販売されていく、という潮流が加速していくと思っています。

 

あと、今、興味があるのはメキシコですね。メキシコはどの会社さんも注目されているんじゃないかと思います。それは北米の自動車メーカーと関連しています。

 

ほかは中国のEVメーカーのドアのヒンジ(蝶番)の部分やワイパーの圧力調整、ステアリングの強さの計測などで、かなりユニパルス製品を使っていただいていますね。国内の自動車メーカーも大きな取引先です。自動車業界に興味のある人だったら、すごく面白い仕事だと思います。

 

今、ガソリンエンジンから、EV(電気自動車)なのかPHEV(プラグインハイブリッド車)なのか揺れていますけれど、センサーは自動車の製造に未来永劫、必要なものなんです。それを通して業界の中を時間軸上で継続的に見ていくのも面白い、というのもありますよね。

 

ただ、製品を売るだけでなく、業界の中に飛び込んで混ざってみる。いろんなことを肌で感じて、何がフィットするのかというヒントを一生懸命集めてくる。営業が技術にフィードバックして、それが製品化されて、また市場に投入されて、役に立ったとき、すごくうれしいと思います。



海外での販路拡大の秘訣は口コミ

ーユニパルスの製品の良さ、壊れにくさ、アフターフォローが評価されている

- 御社の製品が海外で販路を拡大できている理由は何かありますか。

 

 

たとえば、中国やタイだと口コミ文化が根強いようですね。製品の良さ、壊れにくさ、アフターフォローについては口コミで伝わっているようで、それでユニパルスの製品は中国本土でよく売れているんですよ。おかげさまでトルク系は中国のEVメーカーのテストベンチの標準器(測定器)になっています。

 

 

※テストベンチ…ある設計が正確・妥当であるかどうかを検証するための仮想的環境のこと。テストベンチは、検査対象となる電子回路の構造や性質に合わせて設計される

 

 

中国現地の計測器メーカーの台頭もあって、かなり使えるセンサーもあるんですが、それでもユニパルスの製品を採用してくれています。これは口コミの効果が強力だからだと思っています。ありがたいことですね。 



世の中にない価値を創造し、はじめて世の中に誕生する製品をつくる

ーセンサーメーカーだからこそできたムーンリフタ

- ユニパルスの製品の強みは何ですか。

 

 

日本はものづくりの国だから、オリジナルのものを考えて作って、実際に使ってみてどうなのかをフィードバックして、という土壌があります。ものづくりに対する考え方も国によって全然違いますよ。会社によっては真似て廉価版で出して安いものを売ればいい、というところもあります。

 

世の中にない価値を創造する、それにこだわって、ユニパルスもはじめての価値を創り出すことをやってきました。儲けの部分は競合がないところを狙いたい。はじめて世の中に誕生する製品を目指したい。

 

うちの会社で一番大変なのはマーケティングの部分なんですよ。似たようなものが業界にあれば、それと同じような見出しで同じような謳い文句で売ればいいけれど、新しいものはそうはいきません。

 

たとえば、ユニパルスのムーンリフタは日本初です。ほかの国に似たような製品がたくさんありますが、荷役企業が作っているケースが多く、センサー会社ではないんです。うちはセンサーの技術をベースに作っているので制御ができます。持ち上げるだけではなくて、スピードを制御する。あとはユーザーに合わせて、ここまでの高さにきたらスピードを半分に下げる。頭に当たるとぶつかると危ないとか、食品を扱うときは地面に付かないスレスレのところまでしか下ろさないとか、衛生面のことを考えて、設計しています。そういうことができるのは、おそらく地球上でユニパルスだけです。

 

ムーンリフタを開発したエンジニアはいろんなアイデアが出せる人で、ゼロからイチにできる人ですね。逆に営業マンからの「こういうことはできない? ああいうことはできない?」というヒントを元に作っているケースもあります。

 

いきなり製品が湧きだすわけではないので、まず営業として売ってくるのが仕事の第一歩ですが、お客様からは「こういうところに不具合が出た」「こういうところが使いにくい」といったフィードバックがあります。それを営業が技術に伝えて、技術がそのアイデアを吸い取って、製品を改良したり、新製品を生み出したりします。それが目に見える形で行われるのがうちの会社です。

 

個人プレーではなく、相乗効果が狙えます。大きすぎず全員の顔が見える。うちの会社をこれ以上、大きくするつもりはないんです。販売が伸びているので、生産数は増やしたいと思っています。工場は大きくしたいと思っていますが、それ以外の部分をこれ以上大きくするつもりはないです。

ユニパルス ムーンリフタ
ユニパルス ムーンリフタ


海外営業に挑戦する留学生に期待していること

ーそれぞれの地域の商習慣を理解し、ユニパルスの製品の良さ伝えていく

- ここ数年、留学生採用を積極的にされていると思うんですが、留学生にはどのようなことを期待されていますか。

 

 

まず、その国ごとの商習慣がありますので、その国の人間が担当するのが、一番効率がいいと思ってるんですよ。現地出身の営業マンが現地の代理店、もしくは現地のお客さんと、その地域の言語で話してはじめて、やっと伝わることがあるので、そこに期待しています。

 

社内的な話だと、外国籍の社員がいることによって、全体的に日本人社員の視野も広くなると思います。日々の仕事の中で、忘れてはいけないこと、やらなければいけないことがたくさんありますが、それをやっていると人間はどんどん視野が狭くなっていきます。そこで外国人スタッフの言葉が聞こえてくると、いろんなことが起こっていることがわかると思います。自分の手元だけではなくて、ほかにちょっと意識が向くだけでもだいぶ違うと思います。今後、もっと相乗効果が狙えるようになってくるし、第一歩としては心理的な変化も大事だと思っています。 



♦♢♦ユニパルスの玉久社長から留学生のみなさんへのメッセージ♦♢♦

ー 最後に玉久社長から、留学生へのメッセージをお願いいたします。

 

 

大きい会社、上場企業が「いい会社」と思っている人はたくさんいると思います。ただ、どういう性格の会社なのか、個人の人間を見るように、会社を見てください。ひとつひとつの会社を見極めて、入社するといいんじゃないかと思います。会社の規模や上場の有無だけではなく、自分の居心地がいいかどうか、自分の人生の思い描いている道筋にフィットするのかどうか、自分がその会社の仕事に本当に興味が持てるかどうか、ちゃんと知っておかなければならないと思います。そういう風に会社を探したらいいと思います。

 

ユニパルスに興味があったら、ぜひ応募してください!

 

 

日時:2023年12月21日

場所:ユニパルス本社

インタビュアー:ASIA Link 相馬

記事編集・構成:ASIA Link 小川

ユニパルス株式会社の玉久社長が、「社長LIVE2025」(2024年3月13日ZOOM)に参加します!

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