【日本で就職するための在留資格】

就職活動を始める前から、在留資格の知識は必要です


.「留学」の在留資格のまま、日本で正社員として働くことはできません

 

 いま日本で留学生活を送っている留学生のみなさんは、「留学」という在留資格を持っていますね。この在留資格は、「教育機関で学ぶために日本に在留する」という目的の資格です。そのため、日本で正社員として就職するためには、在留資格の変更が必要になります。

 

 

2.どの「在留資格」に変更するのか?

 

 日本で正社員の内定をもらい、これから日本で働くことが決まった留学生は、基本的に「技術・人文知識・国際業務」という在留資格に変更します。長い名前の在留資格ですが、3つの単語に分かれていることに気づくと思います。

*技術

*人文知識

*国際業務

つまり、この3つの仕事のどれかを行うことを目的とした在留資格なのです。

もう少し簡単に説明すると、以下のような内容の仕事です。

*技術 ⇒ 大学・大学院または専門学校で専攻した理系分野の知識を活かす仕事(エンジニア、技術職など)

*人文知識 ⇒ 大学・大学院または専門学校で専攻した文系分野の知識を活かす仕事(営業、マーケティング、経理、デザイナーなど)

*国際業務 ⇒ 自分の外国語力や国籍の強みを活かす仕事(海外とのやり取り、通訳翻訳など)

 

上記を見てわかるように、留学生のみなさんが日本で正社員として働くための在留資格を取るには、自分が学んだ専門分野に関わる仕事、または国籍の強み・背景を活かす仕事に就く必要があるのです。そのため、就職活動を始める前に、在留資格の基本知識を持っておくことが必要です。

 

 

3.いつ、だれが「在留資格」の変更を行うのか?

 

 在留資格を変更するための書類の提出は、入社が決まっている企業の担当者ではなく、留学生のみなさん本人が最寄りの入管に行って提出する必要があります。企業によっては、企業の担当者や行政書士が申請を代行してくれるケースもありますが、一般的には留学生本人が入管に行きます。

 申請書類の準備は、企業の担当者と一緒に行います。外国人採用に慣れている企業の場合は、留学生が準備すべき書類を教えてくれますので、その指示に従って書類を準備してください。ただ、外国人採用が初めてだったり、担当者が慣れていない企業もあります。その場合は、企業の担当者と一緒に調べながら書類準備を行うこともあります。心配な場合は、留学生のみなさんのほうでも、入管の相談窓口で聞いたり、大学や専門学校のキャリアセンターの先生等に確認してください。

(ちなみに、ASIA Linkからの紹介企業で内定が決まった留学生の場合は、ASIA Linkが在留資格変更のサポートを行います)

 次に、在留資格を変更する時期ですが、企業で内定が決まったあと、入社する3か月前になったら入管に書類提出を行いましょう。入管での審査には1~3か月程度の時間がかかります。3か月前に提出しておくと時間的に余裕が持てるので安心です。ただ、入社予定日の直前になって内定が出る人もいるでしょう。その場合も、もちろん書類提出ができますので安心してください。ただし、書類提出から入社予定日までが1か月もない場合は、入社予定日までに在留資格変更の許可が間に合わないこともあります。企業の担当者と相談しながら、入社日を調整してください。在留資格変更の許可が出る前に、正社員として働き始めることはできません。

 

 

4.留学生が準備すべき書類は?

 

 留学生が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格へ変更するために必要な書類は、基本的に以下の5点です。

①在留資格変更許可申請書

 ※出入国在留管理庁の以下のWebページからダウンロードができます。 

  https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-2-1.html

②3か月以内に作成した履歴書

③自分が現在在籍している(または卒業した)大学・大学院・専門学校の卒業見込証明書(※すでに卒業した人は卒業証明書)

④自分が現在在籍している(または卒業した)大学・大学院・専門学校の成績証明書

⑤写真

 ※写真の規格は以下を参照してください。

  https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/photo_info.html

以上です。

さらに、母国の大学や大学院を卒業している人は、そちらの卒業証明書と成績証明書も準備しておきましょう。

母国の証明書類が母国語(英語以外)で書かれている場合は、自分で日本語または英語へ翻訳したものも添付します。 

入管に行くときには、パスポートと在留カードも忘れずに持参してください。

 

 なお、上記の5点は留学生側が準備する書類です。このほかに、企業側が準備する書類もあります。留学生側の書類と企業側の書類がすべてそろったら、留学生が全部持って入管へ提出に行きます。

 

 

 

 

5.在留資格変更について、よくある質問

 

①卒業するまでに就職が決まらなかった場合、「留学」の在留資格のまま就職活動を続けてもいいですか?

⇒ 就職活動のための「特定活動」という在留資格があります。この在留資格へ変更して、就職活動を続けてください。ただし、この在留資格を取得するためには、在籍している学校からの推薦状が必要です。また、卒業までに就職活動を行っていたことを証明するための資料も必要になります(企業担当者からの面接連絡メールなど)。卒業が近くなって慌てて就職活動を始めた人は、特定活動の在留資格への変更は非常に難しいです。卒業後も引き続き日本に残って就職活動を続ける可能性のある人は、早めに在籍校のキャリアセンターや学生課等に相談してください。

 

②今年9月に卒業予定ですが、企業への入社は来年の4月です。入社までの半年間、「留学」の在留資格のまま日本にいてもいいですか?

⇒ 入社を待ちながら日本に滞在するための「特定活動」(内定待機)に変更しましょう。この在留資格への変更には、留学生側だけでなく、内定先の企業側も書類準備が必要です。企業の担当者と一緒に書類準備を行いましょう。なお、①で説明した就職活動継続のための「特定活動」は学校からの推薦状が必要ですが、内定待機のための「特定活動」は学校からの推薦状は必要ありません。

 ※参照Webページ

  https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00012.html

 

③「技術・人文知識・国際業務」の在留資格へ変更を予定しています。自分の書類が準備できたら、入管へ提出に行ってもいいですか?

⇒ いいえ。この在留資格への変更は、留学生側の書類だけでなく、企業側の書類も必要です。留学生側の書類だけを持っていっても、入管では受理されません。企業からの書類が届くのを待ってください。企業の担当者は様々な仕事で忙しいですし、書類準備には留学生よりも時間がかかることがあります。企業から書類がなかなか来なくて心配な場合は、企業の担当者へ連絡して、書類準備がいつごろになるか教えてもらいましょう。

 

④入管は、自分の家の近くの入管か、それとも就職する企業の近くの入管か、どちらへ行けばいいのですか?

⇒ 自分の住民票がある地域を管轄している入管へ行ってください。自分の居住地域を管轄する入管がどこかわからない場合は、以下のWebページから確認できます。

 ※地方出入国在留管理官署

  https://www.moj.go.jp/isa/about/region/index.html

 

⑤「技術・人文知識・国際業務」の在留資格変更の書類を、無事に入管に提出しました。あとは、入管からの連絡を待っていればいいのですか?

⇒ 入管での審査が終わると、留学生の住所に入管からハガキが届きます。そのハガキに書かれている持ち物を持って、ハガキに書かれている期日までに入管へ行ってください。新しい在留カードを受け取ることができます。

 ハガキではなく封書が届いた場合は、追加書類の提出依頼であることがほとんどです。封書が届いた場合には、すぐに中の文書を確認し、企業の担当者に追加書類の依頼が来たことを連絡してください。期日までに、追加書類を郵送で入管に送る必要があります。

 

⑥企業の近くのアパートへ引っ越しをする日が近づいてきましたが、まだ入管からハガキが来ていません。住所が変わることを入管に知らせたほうがいいですか?

⇒ はい、入管に連絡してください。入管に在留資格変更の書類を提出したとき、受付票をもらいましたね。その受付票に、入管の電話番号とあなたの申請番号が書かれていると思います。入管に電話をして、申請番号と、引っ越し先の住所、引っ越し日を伝えてください。引っ越し後に入管からハガキが発送される場合は、引っ越し後の新しい住所にハガキが届きます。

また、書類を提出した入管は福岡県だったけれど、ハガキを受け取ったのは東京に引っ越してからだったという場合、新しい在留カードを受け取るために東京からはるばる福岡の入管まで行くのは大変ですね。この場合は、福岡の入管に連絡をして、東京の入管で在留カードを受け取りたいことを相談してください。

 

⑦「技術・人文知識・国際業務」の在留資格変更の書類を入管に提出しました。大学卒業まで3か月あるので、1か月ほど母国へ一時帰国をして、家族に会いたいです。帰国しても大丈夫でしょうか?

⇒ 基本的には、申請期間中に一時帰国しても大丈夫です。ただ、一時帰国中に入管から封書やハガキが届く可能性があります。とくに、追加資料が必要で入管から封書が届いた場合、その封書に気づかないと提出期限までに追加書類の提出ができず、申請が不許可になってしまうこともゼロではありません。一週間程度の旅行ならよいですが、長く自宅を留守にする場合は、親しい友人などに定期的に郵便受けを確認してもらうなど、対策が必要です。家庭の事情等でどうしても長めの一時帰国が必要で、友人に郵便物のチェックを頼むことも難しい場合は、入管に相談してください。

※現在のコロナ禍においては、出入国に制限がかかることが多く、在留資格変更を申請中の方や入社を控えている方が海外へ出ることはお勧めできません。

 

 


★「在留資格」の変更については、正しい知識を持って行うことが必要です。企業の担当者が詳しくない場合は、友人の情報だけを参考にしたり、自分一人だけで調べたりしないで、必ず学校のキャリアセンターや、留学生の就職にくわしい先生に相談してください。ASIA Linkも相談にのります。

また、入管が運営している「外国人在留支援センター FRESC」は、多言語での相談を受け付けています。

⇒ 「外国人在留支援センター FRESC」 https://www.moj.go.jp/isa/support/fresc/fresc01.html