▼テックプロジェクトサービス株式会社 代表取締役社長 瀬尾 範章さん
TEC Project Services Corporation CEO Noriaki SEO
DX化を進め、生産性を上げて新しい挑戦を続ける
~ 日々の意思決定をスピーディーに行い、より良いプラントを作っていく ~
日本国内でプラントエンジニアリングを展開するテックプロジェクトサービス (以下TPS)
EPCと呼ばれる、設計(Engineering)、機材調達(Procurement)、建設・据付・試運転(Construction)を一括して行うプラントエンジニアリング会社です。プラント事業(石油化学、化学、エネルギー)、医薬ファイン事業、保全事業、環境設備事業と幅広く展開しており、社会のインフラを支える役割を果たしています。
ー2025年に社長に就任されたと伺っています。これまでどのようなお仕事の経験をされてきたのでしょうか。
私は、2004年に東洋エンジニアリングに入社しました。学生時代は、耐震設計を専攻しており、「プロジェクトごとに新しい挑戦がある」という点に魅力を感じ、この業界を志しました。
入社後は、配管エンジニアとしてキャリアをスタートしましたが、当時学んだ耐震設計の経験が思いがけず役立ち、自分の強みになったと感じています。
その後は、プロジェクトエンジニア、さらにプロジェクトエンジニアリングマネージャーとして、多種多様な国際プロジェクトに携わりました。一つとして同じ現場はなく、常に新しい課題に向き合いながら、世界中の仲間と協働する経験を重ねてきました。そうした挑戦の積み重ねが自分自身の成長につながったと実感しています。
さらに、DX推進部長として新しい技術の導入にも取り組み、2025年からTPS社の社長を務めています。
自分自身が多くのチャンスを通じて成長したように、当社には若手社員が主体的に挑戦し、キャリアを広げていける環境があります。
- TPSへの社長就任の経緯とは
正式に「こうしてほしい」と明言されたわけではありませんが、私なりの解釈を含めてお話しします。
エンジニアリング業界全体が抱えている大きな課題の一つに「労働者不足」があります。そのため、これまでのやり方を続けるのではなく、新しい事業モデルへの変革が求められております。
東洋エンジニアリングでも、「どこから、どう変革を始めていくのか」が大きなテーマとなっていました。
その中で、TPSは医薬ファイン事業に強みを持ち、高付加価値を生み出せるポテンシャルを持っています。
さらに、EPC事業(注)は、ハイリスク・ハイリターンのビジネスですが、TPSはそれに加えて安定収益をもたらす保全事業にも注力しています。小規模な組織であるからこそ意思決定も早く、挑戦や変革に前向きなカルチャーが根付いているのです。
こうした背景から、「DXを変革のツールとして、TPSで活用しよう」という流れになっています。
私は東洋エンジニアリングで培ったDX推進の経験を活かし、TPSでの実践に繋げています。若手の社員もデジタルや新しい働き方を取り入れながら、変革の担い手として成長できる環境が整っています。
注)EPC事業・・・設計(Engineering)、機材調達(Procurement)、建設・据付・試運転(Construction)の工程を一連に行う事業
ープロジェクト建設を進めていく上での課題とは
プラントの建設プロジェクトには、数百人規模の多様な専門家が関わっています。
そのため、最も大きな課題の一つが「情報共有と透明性」です。
例えば、トラブルが発生し、方向転換が必要になった時、情報伝達を人づてに進めるだけでは、どこかで情報が止まってしまったり、判断のスピードが落ちてしまうことがあります。
また、マネージャーが、「このポイントが重要だ」と示しても、現場ごとに目の前の業務が優先され、優先順位の認識も異なってしまうこともあります。だからこそ、情報を統合し、全員が共通のゴールや優先順位を理解できる仕組みづくりが欠かせません。これはプロジェクトを成功させるための第一歩だと考えています。
プラント建設は、2~3年という長期にわたる大規模プロジェクトです。その間、日々無数の意思決定が行われます。方向を誤れば大きなリスクにつながる可能性もありますが、その分プロジェクトが成功したときの達成感は大きい。
若手社員であっても、意思決定プロセスに関わり、チームと共に課題を乗り越えていく経験は、大きな成長に繋がると思います。
―意思決定の連続、とは、プロジェクトのエンジニアだけでなく、各エンジニアそれぞれがフィールドで意思決定をしていく、ということでしょうか?
その通りです。全ての判断をプロジェクトマネジャーに仰いでいては、どうしてもピラミッド型の組織となり、スピード感を失ってしまいます。大規模なプロジェクトを成功させるためには、現場のエンジニア一人ひとりが主体的に判断できることが欠かせません。
例えば、お客様と仕様書の調整をする際に「こう変更しましょう」と設計を提案されたり、お客様から「これを追加したい」と言われたときに、どう反応するかを自分で考え判断する必要があります。
また、取引先メーカーへの発注品の納期が1週間遅れる場合、その影響が社内のどの工程に及ぶのか、遅延を受け入れるべきか、交渉でリカバリーすべきかなど、日々多くの判断が各部門やエンジニア同士の間で行われています。
こうした環境では、若手であっても「自分で考え、判断する力」を早い段階から磨くことができます。責任を持った意思決定を経験することで、大きな成長を実感できるのも当社の魅力の一つです。
- 日々いろいろな場面で意思決定が行われているのですね。
はい。EPCプロジェクトは、一つ一つの工程が独立しているわけではなく、全てがシームレスに繋がっています。
そのため、どこかで小さな問題が起こると、必ず他の工程に波及していきます。もちろん、個々のエンジニアが常に全体を俯瞰していては、自分の仕事が進まなくなってしまいます。情報を集めること自体に時間を取られてしまうからです。
そこで重要になるのがDXの力です。DXを活用することで、現場のエンジニアが必要な情報をタイムリーに得られ、正しい判断をスピーディーに下せるようになります。
例えば、「発注品が1週間遅れた場合、下流工程にどのような影響が出るのか」といったことも、デジタルの仕組みを通じてすぐに把握できるようになります。これにより、エンジニア一人ひとりが根拠を持った意思決定を行い、プロジェクト遅延のリスクを減らすことが可能になります。
さらにDXの推進は、若手エンジニアにとっても大きなチャンスです。新しい仕組みやデジタルツールの活用に積極的に関われることで、プロジェクトの変革を担う存在として早い段階から活躍できる環境が整っています。
ー仕事を進めていく上で重要なこと
仕事を進める上で欠かせないのは、お客様の価値観を理解し、そのカルチャーに寄り添いながらサービスを提供することです。
現在のビジネス案件は、「小さく投資をして、成果が出れば拡大する」というスタイルが主流になってきています。今後もその傾向は強まっていくでしょう。そのため、「最初から大きな案件をください」というのではなく、小さな案件から信頼を積み重ねて大きく育てていくことが重要になります。
TPSでも、最初は小さな可能性だった案件が、長い年月をかけて大きな成果へと育ったプロジェクトがあります。
その一例が保全事業です。一般的に収益化が難しいとされてきた分野ですが、TPSは着実に事業を拡充し、今では会社の柱のひとつに成長しました。
これは、お客様を深く理解し、Win-Winの関係を築きながら、粘り強く関わってきた結果だと思います。
保全事業には、日々の定期メンテナンスと、大規模シャットダウン(注)の二つの側面があります。
私たちはエネルギー会社や石油会社のお客様に寄り添い、顧客密着型で取り組んできました。
その結果、信頼を得て感謝の言葉を頂くことも多く、長期的なパートナーシップへと繋がっています。
そして、この「お客様と共に小さな挑戦を育て、大きな成果へと繋げる姿勢」は、若手エンジニアにも共通する経験です。入社して間もない時期からお客様と接し、信頼を築きながら、自分の提案や努力がプロジェクトの成長に繋がる手ごたえを得られる環境があります。
注)大規模シャットダウン・・・プラント全体の運転を計画的に停止して行う定期的な点検・修理・メンテナンス工事
ーTPSのプラントづくりの技術とはー
これまでのプラントづくりは、必要な材料を一つ一つ現地に運び込み、その場で施工する方法が一般的でした。しかし、このやり方では、天候に左右されやすく、生産性が低下したり、施工の品質が安定しないといった課題がありました。
そこで私たちは「モジュール工法」と呼ばれる新しい技術を取り入れています。このプラントの設備の一部を工場であらかじめ製作し、現場ではブロックを組み立てるように据え付ける方法です。
現場の施工工程を大幅に減らすことができるため、品質を確保しつつ効率も高められるのが大きな特徴です。
TPSはこうした革新的な工法を積極的に採用し、より安全で高品質、かつ高効率なプラント建設を実現しています。
若手エンジニアも早い段階からこのような先進的な技術に触れ、様々な現場で活躍できるチャンスがあります。
ー 最後に瀬尾社長から、留学生へのメッセージをお願いいたします。
私たちは、留学生の皆さんを積極的に採用したいと考えています。これまでに出会った外国籍の方々は、日本語力を磨きながら、とても優秀で、好奇心旺盛で、学ぶ意欲が高いと感じてきました。成長するための大きな可能性を持っていると思います。
さらに、異国の地で挑戦し、根を張るためには強いハングリー精神が必要です。その前向きなエネルギーは、会社に新しい活力をもたらしてくれると確信しています。
TPSは、多様な文化や価値観を積極的に取り入れ、お互いに良い刺激を与え合える組織を目指しています。皆さんの持つ多様な視点とエネルギーは、事業の成長や会社を前に進める大きな原動力となります。
留学生の皆さんが安心して挑戦し、成長できる環境を私たちは用意しています。是非、一緒に未来を切り拓いていきましょう。
日時:2025年9月11日
場所:テックプロジェクトサービス本社
インタビュアー:ASIA Link 相馬
記事編集・構成:ASIA Link 相馬
写真提供:TPS
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